在宅高齢者向け生活支援サービスを提供する有償ボランティア組織が人財面・財政面において持続可能性をもって活動するためのマネジメントとはどのようなものか明らかにすることを目指してアクションリサーチを行うにあたり,本稿では論点整理を行い,問いを立てた。
我が国において生活支援サービスを提供する有償ボランティアは,労働との区別に曖昧さを孕みながら1980 年代より台頭・拡大し,2000 年の介護保険制度実施以降は沈静化したものの,いままた再生しつつある。2015 年の新しい介護予防・日常生活支援総合事業導入以来,行政によるボランティアへの期待と活用の意図は高まっているが,住民の主体的参加とマネジメントは未だ不十分である。
一方で,オランダの在宅ケア非営利組織「ビュートゾルフ」はケアのコストを低減しつつ利用者と支援者双方の満足度を高める新たなマネジメントモデルを生み出した。これを日本の生活支援サービスを提供する有償ボランティア組織に応用していくため,「ティール(進化型)組織」に関する議論と組織論を拠り所として 2 つの問いを立てた。今後,有償ボランティア組織とともに問いの再設定から着手し,アクションリサーチを進めていきたい。