「現代社会における「自立」と「依存」?再帰的エイジングの批判的検討から」
本稿は、現代社会における「自立」と「依存」の社会的意味付けを考察している。加齢による心身機能の衰退にも関わらず、老年期には他者との共生より個人の自立が強調される。こうした現代における老いの在り様は「再帰的エイジング」と呼ばれるが、老いに伴う不可避の他者への依存から挫折を余儀なくされる。老年期においては、否定的な意味を伴う「依存」によって隠されている日常生活における「他人の手」を可視化する必要性を指摘する。
関東社会学会『年報社会学論集』
23号、pp47-58