「マックス・ヴェーバーにおける宗教発展論の意味――発展の理念型と決疑論」
多神教から一神教へという、一見すると「進化論的」に見えるヴェーバーの『宗教社会学』冒頭の議論を、ヴェーバーがそこで「宣言」している理解社会学的方法と概念に即して検討した。そこでは、特定の発展過程が可能になる社会的条件が考察されているのである。ヴェーバーが独自の方法と概念を彫琢したのは、既存の認識を解体-再構成するためであり、進化論的に見える議論は、実際には当時の進化論的宗教史を批判し、世界宗教の比較社会学を可能にするための「決疑論」として展開されていたと見ることができる。
『工学院大学 共通課程 研究論叢』
第47-1号