「マックス・ウェーバー特集」臨時増刊号。ヴェーバーの「近代社会」像として語られることの多い「鉄の檻」という概念が、iron cageという英訳によって流布したナイーブな一面的イメージであること。実際には、殻(ゲホイゼ、Gehause)に「閉じこめられる」と同時に「閉じこもる」という両義性が含意されていること。以上の2点を指摘した上で、『儒教と道教』など諸テキストにおける殻概念の用例をその都度文脈に即して整理考察し、階層的利害の複雑に絡み合った状況が、殻を形成するという動態的連関を、比較社会学的に明らかにした。