給付建年金プランを巡る経営者の会計行動
本稿では、アメリカにおける年金会計を巡る経営者の会計行動についての仮説ないしモデルについてサーベイし、その多くが経営者の金銭的報酬の極大化を目的変数として構築されていることを明らかにした。その上で、わが国の経営者の報酬が、株価ないし会計上の報告利益に連動しない固定的なものであると仮定した場合、年金会計行動に関する経営者の目的変数はどのように設定されるのかを検討し、報酬が長期的に続くこと、すなわち役員としての地位を長らえることを目的変数とする仮説(従業員主権仮説)を提示した。
研究年報経済学(東北大学),第62巻第3号,pp.183-196.