小説における視点と時制:日英時制体系における“参照点としての発話時”
過去形と非過去形の選択について日英を比較した。日英語ともに、間接話法内と3人称小説の地の文での時制選択に並行性が認められ、どちらも「参照点」のとり方という時制使用の基本的な特徴から記述できる。これに基づき、小説における過去形/非過去形の選択について、日英で義務性の違いが生じる領域とメカニズムを記述し、使用領域の重なりとずれのパターンを一般化した。
『神戸海星女子学院大学研究紀要』
第44号,pp.167-192