本稿は、2005年秋に創業したアメリカのソーシャルレンディング・サービス・Prosper社の初期のビジネスモデルとその問題点を浮き彫りにすることを目的としている。この新しいビジネスモデルは、インターネットをベースとして個人同士がつながり、信頼や共感を媒介として、既存の金融サービスから排除された者に手が差し伸べられるという情緒的な側面に注目が集まっていた。それゆえ、Prosperをはじめ多くのサービスが仮想コミュニティをベースとしたビジネスモデルを展開していた。しかし、同社の取り引きデータおよびそれを基にした貸し手と借り手の行動に関する実証研究からは、当初の情緒的な絆に基づくサービスは様々な課題を孕んでおり、それゆえにビジネスモデルの転換が必要となったことが明らかとなった。