本稿では,経営者の意思決定にかかるアカウンタビリティについて、Simon(1997)及びBarnard(1938)の諸概念。坂井(2021)で示した責任過程と協働におけるコミュニケーションの枠組みを用い,価値的要素の大きい意思決定である共通目的の設定を主たる対象として考察した。
本稿の考察を通じて,経営者の意思決定にかかるアカウンタビリティに基づく説明には,共通目的の内容の伝達(結果説明)と共通目的を定める理由や必要性の説明(理由説明)が含まれること,それらの説明は階層的コミュニケーションだけでなく,階層組織外の不特定多数の人々に対する側生的コミュニケーションを通じてなされることが導かれた。