本報告は、協働と会計の関係に関する本質的理解を求めて、会計をコミュニケーションとしての性質をもつ責任実践と捉えるわれわれの理解に基づき、 Barnard(1938;1948)の協働理論における組織概念(非公式組織、側生組織、階層組織)を手掛かりに、コミュニケーションの観点から、組織で営まれる責任実践における会計の位置付けを明らかにすることを目的として行われた。
検討の結果、管理会計が、上位者(経営者や管理者)を問責者、下位者(組織成員)を答責者とした階層的コミュニケーションにおける結果説明であることが導かれた。また、財務会計は、強い発言力をもつ出資者が存在する場合には階層的コミュニケーションにおいて、大規模化や株式の分散化が進んだ現代的な株式会社企業では側生的コミュニケーションにおいて、出資者や投資家を問責者、経営者を答責者とした結果説明に該当するとの試論が導かれた。