我が国の中小企業は、その時代的変遷の中で構造的に変化を続けてきた。実際、我が国の商業は江戸時代から明治時代にかけて我が国の経済を支えてきた経緯があり、その意味で中小商業が担ってきた役割も決して小さくない。
ところが、ITによって中小商業は危機的な状況に置かれている。特に、ITは中小商業の経営能力をエンパワーさせ、大企業と互角以上に戦えることを謳ってきた。そのITが中小商業を追い込めているのである。
本稿では、この問題を中小商業の構造変化に絡め、ITの持つ限界とその可能性を中小商業の中小小売業と中小卸売業とに注目し、それぞれを分析し、今後の中小商業の可能性を論じる。