「国制史からみたユリア事件―「アウクトーリタース(auctoritas)」再考―」(ヨーロッパ統合に関する総合的研究 : その統合の理念、その課題、そして東アジア地域への示唆)
本稿では法制史的な観点からとりあげられることの少ない紀元前2年のアウグストゥスの娘ユリアによる姦通事件について、非法文史料を中心に再検討し、当該事件を軸にアウグストゥス期の国制の在り方を探ろうとした。とりわけ事件処理の背後でアウグストゥスの「アウクトーリタース」がどのように機能したのか、関係者の処罰方法から推測し、さらに当該事件をきっかけとして新たに登場したと考えられる刑罰の一類型“relegatio(島送り)”に国制変化を読み取ろうと試みた。
国府台経済研究(第26巻1号) 29~61頁:千葉商科大学経済研究所