(P127~P142)2007年までに、中国の農村貧困者を対象とする政策は主に2つである。1つは1950年代から作られた五保制度を用いて、貧困者のうち、特に労働能力をもたない「三無」人員を救済する政策である。もう1つは主に労働能力をもつ貧困者を対象とする開発的な貧困削減政策である。しかし、近年この2つの政策の限界が露呈し、農村部の最低生活保障制度が登場した。本論文はまずこの制度の内容を紹介し、つぎにその形成背景を制度的背景、政策的背景および政治的背景から説明を試みた。そして、制度の問題点として保障基準の低さをデータで示したうえで、今後の課題について指摘した。