中国が目指す「普惠型」保育について

中国では、少子化が急速に進んでいる。2021年に公表された第7回人口センサスによると、2020年の中国の合計特殊出生率は1.3であり、「異次元の少子化対策」が掲げられている日本の1.33よりも下回る水準となっている。上海や北京などの大都市ではすでに0.7前後と世界最低レベルに低下し、2022年末の人口は61年ぶりに減少した。中国政府は2020年以降に、出産・育児支援の政策を矢継ぎ早に打ち出し、予想外に加速している少子化に歯止めをかけようとしている。少子化対策は今や中国にとって喫緊の課題である。本稿は経済的支援、時間支援およびサービス支援のうち、最も脆弱な3歳未満児の保育サービス（中国語では「托育服務」という）を取り上げ、その現状を紹介したうえで、最近の政策動向を踏まえ、中国が目指す「普惠型」保育の性格を考察することを目的とする。

週刊社会保障