中国の新しい生活保障のかたち：積極的就労と社会保障の再連携

本稿の目的は中国の就労政策と社会保障の連携を考察することによって、中国の生活保障の特徴を明らかにすることである。中国を取り上げる意義は以下のように考える。東アジアの社会保障、特に皆保険・皆年金の成立についていえば、日本は第1世代，韓国は第2世代というふうに捉えることができる。中国の場合、ギリギリ第2世代の「バス」に乗り込むことができ、いわば境界事例である。中国は世界の最先端の部分と発展途上国の部分が併存しており、その経験の解明は「学び合うアジア」（金2019）の探求につながる。
　まずインフォーマル就労に焦点を当て、中国の就労と社会保障がうまく連携していない現状を明らかにしあうえで、これまでの就労政策の展開を振り返って、インフォーマル就労がどのように位置づけられてきたのかを確認した。最後に直近の動向を踏まえたうえで、中国における新しい生活保障の方向性を指摘した。

『千葉商大論叢 』