「中国における『全民低保』の実現」
本稿は、中国の公的扶助の基軸である最低生活保障制度に焦点を当て、1993年の社会救済制度の改革から、2013年までの「全民低保」時代までの20年間を考察した。この考察を通じて、以下の3点を指摘した。第1に、「全民低保」は中央政府の強いリーダーシップによって実現されたことである。第2に、最低生活保障制度は、国家統治の一手段として、社会・経済の安定装置機能を見事に発揮していることである。第3に、制度の構築過程において、中国の特有性と世界との共通性が同時にみられることである。
『海外社会保障研究』No.189