沖縄島における完新世の陸域の堆積物を用いた古環境変遷は,島嶼であるため大きな堆 積盆がないために十分に明らかになっていない。本研究では,沖縄島の北部と南部の内湾 性堆積物を用いて色分析,CNS 元素分析から最終氷期および完新世の古環境の変遷を明 らかにした。最終氷期の 1 万 2 千年前には,寒冷な気候を反映した海水準の低下により, 北部の羽地内海は陸化していた。完新世の 8 千年前には,海水準が上昇したことが羽地内海,漫湖から確認できる。1000 年前ごろからの堆積環境の悪化は,沖縄島での農耕の開 始によるものと考えられる。