自然環境は一般意思により行動する主権者に帰属する資産であり、現世代は、前世代から継承した自然環境を損なうことなく、次世代に継承しなくてはならない。環境会計は、現世代のこの責任を果たしているか・いないかを説明しなければならない。 従来の環境会計は、企業が環境に負荷を与えることを前提として作成されている。その一方で一部の非営利組織やごく一部の先進的な企業は人と自然の共存を目指し、破壊された生態系の再生を試み、着実な成果をあげている。 環境への影響は特定の指標により測定されるべきものではない。本稿で提言される生態ピラミッドによる環境への影響を評価する方法は、再生された生態系を生態ピラミッドの成長として捉え、その成長に応じて環境回復のための投下資本の増価を認める。環境破壊は、実在した生態ピラミッドの消滅として認識し、再生されるべき相当の生態ピラミッドにより評価する。 現世代は、次世代に豊かな自然を記憶として伝えるのではなく、そこにあるものとして伝えなければならない。生態ピラミッドの成長を利用して主権者の資産である環境を評価することにより、現世代の将来世代への責任は明らかになる。