現在の公会計は、ペイトンが企業会計において切開いた道筋をなぞるように新しい局面に移行しなければならない。 従来の公会計においては納税者の視点は幾ばくかの考慮はされたが、公会計全体を考察する場合の根幹となる視点としては捉えられてはいなかった。しかしこの関係は出資者と経営者の利害関係の対立に相当する、政府と納税者の利害関係の対立に着目しなければならない。 さらに、会計主体の目的に対する再考察が必要である。企業は利益を目的とする経済主体だが、政府は利益を目的としない。言換えれば企業はProfit Centerであり、政府はCost Centerである。政府の成果を説明するための成果報告書に、Profit を前提にする収益(Income)を計上することは適切でない。政府の成果報告書には収益は存在しないのである。そこにあるのは成果とこれを獲得するために発生した費用とその負担を誰に依存したかを明確にしなければならない。