均衡税制という基本的な約束を守ろうとする首長は、進むべき目的地をその地図に記している。首長に必要な情報は、現在地をその地図に記すことである。首長のバランスシートで明らかになる『将来の税金』が現在地をしめす。就任時の『将来の税金』を明らかにし、定期的に会計報告をおこなうことで、現在地は更新される。均衡財政を達成するために歩んだ道のりと、これから歩まなければならない道のりを知ることができる。 会計報告は、首長の税の運用能力を主権者に伝えるだけでなく、首長の意思決定のための羅針盤となる。 『人権宣言』を起草した人々の憂慮は的中した。首長も主権者も原理原則を忘れ多くの知識や情報に苛(さいな)まされている。 会計報告は、毎年作成される。『将来の税金』をしめす会計方式を採用することで、首長は財政運営の指南車を手に入れることができる。 昨今、消費税の増税や環境税の創設が喧伝されるが、増税や新税を議論する前に明らかにされなければならないのが、税を運用する首長の能力である。 首長のバランスシートは、任期中の『将来の税金』 を比較することでその能力を詳らかにする。