従来の環境会計報告書は、報告主体は環境を破壊する者であることを前提として作成されている。その内容は、環境に対してどのような姿勢で取組むかを示し、行動指針と具体的な行動計画とその結果を示している。その一方で、利益を前提とせずに環境再生を行う主体が出現している。 自然環境は前世代から継承する。前世代から継承した自然環境を、現世代も将来世代に継承しなければならない。将来世代に対して自然環境を継承するという責任を現世代は負う。次世代に対する責任を果たすためには、破壊した環境を再生しなければならない。環境を破壊する者が、環境再生事業の需要者である。環境再生をおこなう者が供給者となる。供給者にも適切な評価が行われ、適切な対価が支払われなければならない。この研究ノートでは、霞ヶ浦流域の環境再生事業に大きな貢献をしている特定非営利活動法人アサザ基金の成果報告書を示した。次世代に環境を継承するために、環境を再生する者のおこなうべき会計報告方法の一案である。