ハイエクは計画経済の破綻を、他人が個人の選好を知りえないために経済的な選択ができない点から予言した。政府の選択が経済的でないにも係わらず、政府支出の増大が認められてきたのは、利用者が通常であれば支払う対価が、政府の提供する公共財では、他人と共同して利用できるので、利用者は妥当と考える対価を表明せず、価格情報の交換の場となる市場が成立しないからである。 債務超過から抜け出すためには政府の現状を把握しその役割を見直す必要がある。本稿においては、いかなる資源に貸借対照表能力を認めることが、財務報告利用者にとって有用なのかを考察する。