明治23(1890)年に第1回帝国議会が開催されます。制度が整ったからといって、その制度が期待どおりに機能するかは、選ばれた人によります。ボダンが定義した主権には、人事権が入っていました。民主制では、一時的に権力を与える者を選ぶという人事権により主権を行使します。権力を預けた者の仕事の結果を見ることで、またその権力を預けるか、預けないかを主権者が決めるのです。ボダンが生きた時代には、人民に主権はありません。板垣が生きた時代は、良い権力者を見いだす公会計はありません。板垣が一生の仕事とした民撰議院が有効に機能するには、能力のある者に権力を預けなければなりません。能力のない者に預けると、権力は悪事に使われます。民主主義も「到底不完全を免れず」となります。能力のある者を見いだす公会計が必要です。