会計報告により、経営者の能力を評価することが可能となった。会計報告により株主は経営者を再任するか・解任するかを判断する。継続的に利益を獲得しているのであれば、再任した後も利益獲得することが期待される。株主は再任を積極的に検討する。損失を報告するのであれば、新しい経営者に委ねることも検討する。株主以外の者が、その企業の将来性に株主よりも高い評価を与えるのであれば、株主と株式を取引することも検討される。こうして株式市場が出現する。株式市場は、この意味で経営者の能力を取引の対象とする。株式市場に参加する人々は、継続のための十分な備えをした上で利益を獲得している企業の将来価値に対して様々な評価を与え、株式に様々な値段をつける。企業会計は、経営者の利益を獲得するという約束を守る能力を見える様にすることで、株式市場という新たな市場を創造した。「指切・拳万・嘘ついたら針千本」と唱えることで、約束を守ることの大切さを子供達は継承する。約束を守ることの重要性は、他人の資金を預かる経営者も「指切・拳万」を唱える幼児にも違いはない。