小さな会社でも、出資者との関係は資本金という勘定によって示されます。会社設立のため、出資者からの資金を受けたことを示す資本金は、資本家の勘定なのです。資本家のための勘定があるので、企業会計は、仕事を任せた経営者に会ってその功績を計ることが可能になります。経営者に恵まれれば、資本の勘定はその経営者の経営により増加します。国は、2000(平成12)年の「財政事情の説明手法に関する勉強会」による「国の貸借対照表(試案)」を皮切りに、「国の貸借対照表」の作成を始めました。総務省も自治体に貸借対照表の作成を勧めています。ところが、「国の貸借対照表」には、主権者と仕事を任せた内閣総理大臣とを結ぶ勘定はありません。自治体の貸借対照表では、住民と仕事を任せた首長とを結ぶ勘定がありません。市長と市民をマゼコゼにすることで市民の勘定が消失されているのです。国民不在の貸借対照表が、国の貸借対照表であり、自治体は住民不在の貸借対照表をつくっています。