日本の情報機器産業に対する育成政策として、国内外から評価されている1970年代の「超LSI研究組合」プロジェクトをとりあげ、政府文書、公表資料、先行研究の精査を通じて、同プロジェクトに対する実証分析と政策評価を試みた。産業政策の諸要因について、情報通信産業における製造業としての側面と、ソフトウェアを含めた同産業全体とに区分して分析を行った。その結果、前者に関しては一定の評価が与えられるが、後者については高い評価を下すことはできなかった。情報通信産業政策の特徴のひとつとして、ハードウェアを含めたインフラストラクチャの整備政策とともに、それを社会的・経済的に活用するためのソフトウェアなどに対する条件整備・利用促進政策が必要であることが明らかになった。