日付推定のバイアスとアクセシビリティ・ヒューリスティクス

２つの実験によって，過去事象の生起日時の推定（＝日付推定dating）場面における認知プロセスについて検討を行った．４５個の社会的事件を材料とした実験１の結果から，被験者が日付推定においてアクセシビリティ・ヒューリスティクス（＝該当する記憶表象のアクセシビリティをモニタリングすることによって，大まかな日付推定を行おうとする課題解決方法）を用いていることが示唆された．そこで実験２では，被験者の記憶表象のアクセシビリティを操作するような挿入課題を与えた上で，日付推定課題を実施したところ，予想通り，アクセシビリティの程度と判断バイアスの間に有意な関係が認められた．しかし，意外にも，アクセシビリティの高さが判断の正確性に寄与するとは認められなかった．

日本認知科学会テクニカルレポート