本研究では,実際のライブ演奏と録音された演奏とを比較して,聴き手の感情に与える影響やその音楽に対する評価に,どのような差異がみられるのかを検討することを目的とした.大学生205名に対し質問紙を使い,ライブ演奏と録音演奏を聴いた後で実験参加者の感情状態,聴取した音楽に対する感情価,および聴取した音楽に対する評価についてたずねた.実験の結果,ライブ演奏では録音演奏に比較して刺激的音楽では活動的な感情を,鎮静的音楽ではリラックス感情をより高めること,およびどちらの曲でも聴いていて倦怠感が生じにくいことが示された.さらに音楽そのものに対する“明るさ”“速さ”といった認知にはライブ演奏と録音演奏の違いは見られないにもかかわらず,音楽に対する評価に関してはライブ演奏の方がより好まれ,評価が高いことが示された.(中村 晃・相良陽一郎:担当部分=研究全体の補助・結果の分析および考察部分の検討・論文内容の検討)