文章理解における照応過程について:心的表象の活性度が及ぼす影響
日本心理学会
言語使用の上で重要であり,かつ近年関心が持たれている照応詞(anaphora)の理解過程に関する研究である.実験では,照応詞の一種である代名詞を文中に含むテキストを被験者に読ませ,プライミングテクニックを応用した probe verification task を与えることで,読解中の被験者の心的表象の活性度の変化を測定した.その結果,代名詞の先行詞は必ずしも常に活性化されているのではないことなど,いくつかの興味深い現象が見いだされた.