前報(越智・相良、1996a)においては,ストレス喚起が直後テストの再認成績を抑制する効果が認められたものの,1カ月後の遅延再認テストにおいては,ストレス群および統制群はいずれもほぼ同程度の正答率であった.そこで遅延時間をさらに延長すれば,ストレス群と統制群の正答率が逆転するのではないかという予想から,本研究においては,1年後に再び同様の再認テスト行なった.その結果,数値上は有意にはならなかったものの,1年遅延テストにおいて,ストレス群が相対的に高い正答率を示し,ストレス喚起による超長期的な記憶保持効果がみられた.