フラッシュバルブメモリーが従来言われていたほど正確ではないという Neisser & Harsh (1992)の研究を受け,なぜそのような記憶変容が生じるのかを検討した.実験では,情動喚起性の高い事象(池田小学校事件)と低い事象(田村亮子選手敗退)のそれぞれについて被験者が持つ記憶を,事件発生直後と数ヶ月後の2回にわたって調べた.その結果,数ヶ月後の調査において,田村選手の記憶に関しては忘却が多かったのに対し,池田小学校事件については忘却よりも記憶の置き換えが多かった.この原因について,多角的に検討した.