コンピュータグラフィックスで描かれた仮想空間は一般的に自由に動くことが可能である. ユーザーが何らかのアクションを起こすと, それに対してシステムが反応し, 結果が表示されるといったように, ユーザーとシステムが相互に影響しあいながら, コミュニケーションを行うことができる. しかしながら, グラフィックに凝り, 細かな動きまで設定した仮想空間を作るには多大なコストがかかる.
立体視カメラで撮影された映像は事前に撮影した映像であり, 何らかのアクションを起こせるわけではない。ただ, 180度または360度の視野角で撮影された映像については, HMD(Head Mount Display)(VRゴーグル)の動きに合わせて周囲を見渡すことが可能である. 立体視カメラを用いた映像は, 撮影機器さえあれば, 一般的な映像とほぼ変わらない編集作業で制作できる.
本研究ではこの2つのコンテンツの利点を組み合わせ,仮想空間内を自由に移動しながら, 指定位置に到達した際に立体視映像を再生する仕組みについて検討し,試作した.