本研究は大学生を対象としたアンケート調査により、愛国心とナショナリズムと自尊感情および自己愛との関係を検討した。その結果、愛国心の高さと自尊感情の高さとの間には関係が見られたのに対し、ナショナリズムの強さは自己愛の高さと仮想的有能感の高さと関連するが、自尊感情の高さとは関連が見られなかった。さらに、他国より自国が一般的によいと考える人の割合は日本では極めて高いのに対し、ドイツでは極端に低かったことから、ナショナリズムの強さに関しては、自国の歴史に対する誇りが大きな影響をあたえる可能性のあることが示唆された。