演劇におけるタブローの概念 ―ディドロの演劇論を中心に―
ディドロはその演劇論において「タブロー」という美術用語を演劇用語として転用し、頻用している。この用語は現在、バレエなどの作品の分割構成を表す用語として使われているが、その概念はもともと「真実らしい」舞台表現を追求する18世紀フランスの台詞劇の動向のなかで形成された。本論文では、ディドロの『「私生児」についての対話』『劇詩論』『マダム・リコボッニの手紙/マダム・リコボッニへの返信』)に読める「タヌロー」にまつわる言説から、この演劇の変革期に何が問題になったのかを明らかにする。
『千葉商科大学紀要』第51巻第1号