フォーサイスのつくる劇場空間―共時的空間から通時的空間へ―
「共時的空間」とは、指揮者に指揮されるオーケストラのように、全体が単一の時間を共有する劇場空間のことをここでは言っている。従来のバレエは、音楽に“合わせて”踊り、アンサンブルも一体となり、まさに共時的空間として構成されていた。しかし、振付家フォーサイスはこのような劇場空間の在り方を変えた。ダンサーはそれぞれ自身の時間の流れを作り出している。彼のこのような舞踊構成法を「通時的空間」と呼び、共時的空間における舞踊と比較検討した。
「日本文化財団公演プログラム」
p.44-46