財政学、租税論において個人所得に対する課税を考える時に、その課税ベ-スをシャンツ=ヘイグ=サイモンズ(S=H=S概念)に依拠することはほとんどの学者が望ましいと考えている規範論である。同概念のエッセンスは、1年間の消費に資産の純増を加えたものであって、源泉面を一切考慮せず消費か貯蓄かといったような形式にもとらわれず、原則としてすべての経済力の増加を算入することにある。S=H=S概念には、ヘイグの名は冠されているものの、通常脚光を浴びるのはサイモンズのみであって、これまでヘイグに光が当たることはほとんどなかった。本稿はヘイグがいかにしてサイモンズとほぼ同様の所得概念、"Income is the money value of the net accretion to one's economic power between two point of time." (所得とはある人の二時点間における経済力の純増の貨幣価値である)にたどり着いたかを解明した。