「カーター報告の評価」
包括的所得税のモデル提案であるカーター報告に関して、3つの観点から評価した。第1に、純粋な租税論からの評価として、客観的能力説に依拠した所得税体系による課税の公平が実現するのであり、学術的に極めて高く評価できよう。第2に実行可能性からの評価として、原理と現実のバランスを考慮してモデル提案として理論的実行可能性を追求した点で高く評価できよう。第3に、現実の税制改革に与えた影響からの評価として、1971年税制改革に強い影響を与えた点で評価できよう。
『カーター報告の研究-包括的所得税の原理と現実-』五絃舎
第10章所収