政策情報学部での表現メディア論の講義の中で, 音声について扱う授業の回において, FM 音源の原理を説明するために, 以前は一般のシェアウェアのソフトウェア・シンセサ イザーを用いていた。 このシンセサイザーは倍音となる正弦波を組み合わせて, 音を合成 していくもので, 1970年代のハモンド (ポリフォニック) オルガンと原理を同じにしてい る。 各正弦波については, 音圧と位相を変えることができた。 ただし, 合成される波形が ビジュアル的に表現されず, 文系の学生の直観に訴えるには, やや乏しいと感じていた。 オペレーティング・システムの版が変わり, このソフトウェアは使えなくなったため, こ れと同機能を持ち, かつ合成波がビジュアル的に表現されるソフトウェア・シンセサイザー を試作することをこの研究の目的とする。 および, 昨今のシンセサイザーではサンプリン グ音源に対してのエフェクター機能が備わっている。 これと同等な機構を用いて, 入力さ れた音声に対して, リアルタイムに高速フーリエ変換を適用し, 倍音系列の正弦波に分解 する機能を追加する。 この分解された正弦波を再び合成したものを音声として出力するこ とにより, 正弦波による分解と合成機能, すなわちそれは FM 音源への分解と合成機能 がどの程度, 実際の音色を再現するに足り得るものであるかを, 聴講している学生に直観 的に提示することができる。 その解析ソフトウェアの試作も行なうものである。