持続的オブジェクトのための計算モデルの構築

データベースシステムとプログラミング言語が融合された総合的なシステムを構築するときは、以前のデータベースシステムが保持していたような持続的な情報を表現しなければならない。このときに用いられるのが、持続的オブジェクトである。この論文は、単なる持続的能力を有するような更にもう１つのオブジェクトのモデルを提案するものではなく、持続的オブジェクトをも構成できる基礎モデルを提案するものである。この基礎モデルでは、連接と呼ばれる計算機構を持ったリンクによって、持続的オブジェクトの計算機構や意味的関連を明示的に表現させることが可能である。また、この基礎モデルでは、モデルの中に統一性を持つ規則によって定義された持続性を導入しているので、この基礎モデルを応用して構成されたものは、潜在的に持続性の能力を持つことになる。この基礎モデルは、オブジェクトの振舞いの意味を与えるだけに留まらず、それ自体がある仮想マシンを持つ実システムとして構築することができる。その応用として、従来のオブジェクトとは異なった様々な振舞いを演出できるようなオブジェクトを同一のシステム上に共存させることができる。

修士論文，慶應義塾大学