科研費基盤研究A「パルテノン神殿の造営目的に関する美術史的研究-アジアの視座から見たギリシア美術」(代表:長田年弘)の研究分担者の一人として、報告をおこなった。デロス同盟においてアテナイが同盟国から徴収した貢租について、またデロス同盟の組織について、アテナイがアケメネス朝から何を受容したかについて考察したものである。貢租のうち初穂を一覧にして記した貢租初穂表および貢租納入の祭の儀式とアケメネス朝における貢納国の行列を示した浮彫画とを比較して、そこに見られる支配者への忠誠と支配者の正義を読み取るとともに、デロス同盟の貢租の保管場所がアテナイに移された際、その金庫がアクロポリスではなくアクロポリス下のディオニュソスの聖域であった可能性について論じた。