ペルシア戦争の記憶がアテナイ市民の間にどのように継承されていったか、紀元前330年代に確立されたエフェベイア制度に焦点を当てて考察した。とくに、前4世紀末以降、マケドニアの支配の元で翻弄されたエフェベイア制度が、前229年のマケドニアからの解放とともに、どのようにアテナイの過去の栄光の歴史を継承するシステムとして使われたかについて論じた。さらに、前2世紀以降、ローマほか外国人のエリートの子息がアテナイのエフェベイアに参加することによって、かかる記憶がアテナイ人のみならず、アテナイを超えて継承されていった可能性について論じた。