慶應義塾大学文学部の2019年度および2020年度の極東証券寄付講座での講義にもとづく論文集。地球上の面積にして1%にしか過ぎない地中海の周辺に広がった都市文明のダイナミズムについて、古代から近代まで18論文からなる。神崎忠昭・長谷部史彦編著、佐藤育子、杉本陽奈子、長谷川敬、原田亜希子、飯田巳貴、師尾晶子ほか。担当は14章「古代ギリシアの通商都市ーアテナイの双子都市ペイライエウス」(231−245ページ)。アテナイの外港としてのペイライエウスの成立と、アテナイにとっての軍港および商業港としての重要性を確認するとともに、種々の外国人が居住し、また往来するペイライエウスにおける外来文化の需要について考察した。とくに、非ギリシア人の居住区が従来考えられていたよりも独立した存在であったことを論じた。