「高度成長期日本の公害防止技術開発促進政策の枠組み-大型プロジェクトによる重油直接脱硫技術開発の事例から-」
1960年代半ばに通産省は、リスクが高いので民間だけでは開発が困難な技術の開発に国が全面的に費用を負担する「大型プロジェクト制度」を導入した。その最大の目的は、国産技術の振興、技術輸出の拡大であった。硫黄酸化物排出削減に寄与する重油脱硫技術の開発が同制度の対象となったが、結果として対象となった技術は普及しなかった。同制度の目的から国産技術選択というバイアスがかかり、適切な技術選択が行われなかった可能性があることを、様々な文献、国会での議論の検討などから指摘した。
大原社会問題研究所雑誌