日本語の願望を表す文(例「この気持ち,君に届け!」)は,談話参与者としての聞き手をその文中に持つことができないが話し手が心の中に思い描いた相手としての「君」は存在できるという観察をあげ,Adressed HearerとAddressed Non-Hearerは区別されるべきだとした。またこのような願望の文が「~と願ったよ」というような節に埋め込まれるている場合には談話参与者としての聞き手も文中に問題なく存在できるが,このことをBaker (2008)の人称代名詞の分析を少し修正することで捉えられると論じた。