中世に起源をもつ日本の水田三毛作農業は、現代農業においても生産形態を変えながら高度な集約的農業として引き継がれてきている。本稿は兵庫県南あわじ市の三原平野に展開する事例をもとにその歴史的展開過程を中心に、その存在形態を明らかにしたものである。特に水稲をクリーニングクロップとして位置づけ、後作に導入されたタマネギは1980年代における基幹作物として全国市場での存在価値を高めるだけではなく、キャベツ、ハクサイなどとの組み合わせにより循環型農業として高い生産性を持つ農業として位置づけられることになったことを明らかにした。