第一次大戦前におけるアメリカ電機工業の集中と大銀行（三）

本論文は、1893年から世紀転換期までの電機メーカーの競争激化過程を分析したものである。これ以前にすでに有力金融機関と密接な関係を築いていた２大メーカーの地位が相対的に低下し、逆に、独立系の競争会社が挑戦勢力として台頭してきた。また２大メーカー内では、ＧＥに対するウェスチングハウス社の攻勢が顕著となった。論文は電機メーカーが電鉄技術の開発とその機器生産を担う産業分野だった事実を踏まえつつ、２大メーカーの時代、より正確にはＧＥの時代の到来に先駆けて起こったこの競争の意義と特徴を明らかにしている。

千葉商大論叢

第19巻第3号