21世紀の幕開けとともに、アメリカにおいて巨大な倒産劇が起こった。それは、エンロン社およびワールドコム社という急成長企業に突然巨額の損失が存在することが露見し、破綻したのである。 本稿では、はじめにこうした巨大企業において粉飾決算が行われた背景と、この事件に対応したアメリカの法制定の動きを概観する。そして、これによって監査法人の責任がより厳しく問われることになった状況を分析する。しかしながらここでの本質的問題は、監査法人の不正ではなく、経営者の途方もない私欲にある。経営者が負うべきマネジメントの倫理と責任について、経団連の企業行動憲章などを取り上げながら明らかにする。