港湾運送業A社について、財政状態の推移からその倒産原因を実証するものである。結論としては、A社の倒産原因は、次の諸点を指摘できる。本来の営業収入が衰退傾向にあること、倒産1年前に費用が収入を上回ってしまったこと、倒産4年前に営業収入の底を経験しこれから立ち直るために会社の力を使いきってしまったこと、関連会社に対する保証債務が異常と思えるほど多額であったこと、長期借入金や社債など他人資本に依存し過ぎたこと、一定の配当政策があったこと、偽造手形を回収できるだけの資金がないことなどである。(pp.27-55)