バベッジは、工場の経済性の追求という見地から原価低減を志向していた。このために、彼は、新しい機械や工具が工場に導入されることによって、原価にどのような影響が及ぼされるのか、といった経済性計算が必要であった。その具体的な例が、ピン製造工程の原価分析である。書籍の原価計算は、当時の書籍商が不当な価格で書籍販売を行っている事実を暴露するために、自らの著書を例にとって、価格決定の基礎として示した原価計算である。この原価計算が、原価計算の必要性を最初に論じたものである、と評価される。(pp.129-135)