わが国における原価管理論の発展 ―今井忍博士の原価管理の検討―
今井博士の原価管理については、原価計画に関する点に独創性がある。今井博士は、原価計画を「原価改善」としてとらえる。そのため、原価を通して技術改善を原価改善へと導く。また、原価管理を人間管理の性格をもつものと考え、原価意識こそ原価低減の方向に努力させる態度であるとする。すなわち、今井博士は、経営活動を生産技術、人間関係、経済関係の3つの要素から成るものであるとし、そこで機能する原価管理も技術、人、原価の側面から支えられて成り立つと理解するからである。(pp.57-77)
『千葉商大論叢』第26巻第1号(千葉商科大学)