わが国における原価管理の軌跡 ―今井忍教授の所説を中心として―
今井教授は、原価管理が対象とする原価を、単に製造原価だけでなく、生産過程におけるあらゆる原価費用まで含む、広範な原価管理を考えている。また、原価管理の目的は原価引下げにあるとすることから、生産管理の問題、人間関係の問題など隣接領域を原価管理に取り入れる。たとえば、生産技術の合理化は原価引下げとなること、また経営活動は人間行動であるから、原価管理は人間管理であるということとする。そのため、標準原価や予算によるコントロールを原価管理と呼ぶにはふさわしくないことを主張される。(pp.52-60)
『産業経理』第47巻第1号